オリーブオイル
オリーブオイル
新鮮で健康に良いオリーブの実から取れる天然果汁はエクストラバージンオリーブオイルと呼ばれ、スペイン料理で重要な食材の一つとして広く称賛されています。そのバラエティに富む香りと風味、幅広い調理法、健康を促進する特性が世界中の料理人や美食家、栄養士から認められ高い評価を受けています。
スペインには広大な山の斜面があり、冬は地域により暖かいところもあれば寒さ厳しいところもありますが、夏は暑い日が長く続きます。この地形と気候がオリーブ栽培には最適なのです。スペインのオリーブ文化はローマ帝国支配以前に既に存在していましたが、ローマ人によってオリーブ栽培が拡大され製油技術が発達しました。オリーブ栽培の拡大は、政治や経済情勢、さらには宗教事情と同じように、何世紀もの間困難に直面してきました。しかし、オリーブが持つ普遍的かつ圧倒的な存在感がスペインの多くの地域でその景観を作り出し、生活様式や食習慣に多少なりとも影響を与えてきました。そして、今、オリーブ文化は再び活気付いています。
オリーブオイルの劇的な変化
スペイン全体で3億5,000万本以上のオリーブが栽培されています。なかにはみごとなオリーブ畑の景観を呈している地域もあります。アンダルシアの一部の地域では、雄大な平原に育つセイヨウヒイラギガシやコルクガシ、山の斜面の青松の林と並んで広大なオリーブ園が見られ、ひときわ美しく他には見られない景観を作り出しています。
また、オリーブの実から取れる黄金の果汁は地中海料理に欠かせない食材です。スペインは世界有数のオリーブ生産国で、オリーブオイルの世界総生産量の約半分を占めており、そのうちの約46%を輸出しています。スペインは世界トップレベルのオリーブオイル生産国であり輸出国なのです。スペインにおける近年のオリーブオイル平均生産量は年間約175万トンに達しています。
この数十年間で、いくつかの劇的な変化がスペインのオリーブセクターにおこり、品質面でも大きな変化がありました。その結果、スペインは世界のオリーブ栽培業界で、未来に向けた流れの最先端に躍り出ました。その劇的な変化の1つは、科学的進歩と実験の結果を重要視したことです。これにより、オリーブオイルの品質と多様性を史上最高水準まで上げることができました。
高度な栽培システムや点滴灌漑、一貫生産、環境に優しい栽培方法により、オリーブの実の油分が最高の香りと風味を帯びた熟成時に実を収穫することが可能になりました。オリーブの実の行き届いた手入れとその収穫に加えて、各オリーブの品種の特徴とそれぞれの熟成具合に適応した革新的な抽出技術を採用したことで、実に含まれる様々な微妙なニュアンスを残したままオイルを製造することができるようになりました。
豊富なオリーブの種類
スペインの地形は多様なことから、スペイン原産のオリーブには幅広い品種があります。アンダルシア州で最も人気がある品種はピクアルです。主にハエン県で栽培されていますが、周辺のコルドバ県やグラナダ県、また、北方のカスティーリャ・ラ・マンチャ州その他の地域にも栽培が拡大しています。
栽培地域が拡大した要因はピクアル・オイルがもつ様々な特徴があることを意味します。従来、ピクアル・オイルの特徴は、かすかに苦味を帯びた辛味のあるイチジクのような風味でした。しかし今日では、早期収穫と新しい技術により、新たな風味を抽出できるようになり、これまで以上に香り高く青々としたフルーティなオイルが作られています。
2番目に最も幅広く生産されている品種はコルニカブラで、主にスペイン中部のカスティーリャ・ラ・マンチャ州やその他の地域で栽培されています。コルニカブラから取れるオイルは非常にフルーティかつ濃厚です。また他の品種とのブレンドにも使いやすく、ブレンドしたものは高い評価を受けています。
アルベキーナもスペインの主要なオリーブの品種の一つです。カタルーニャ州原産で、現在は多くの地域で栽培されています。アルベキーナ・オイルの農学的特性とフルーティな甘さにより、アルゼンチンやチリ、オーストラリアなど他のオリーブ栽培国でも栽培されています。その他の主要なスペイン原産種はオヒブランカとピクードで、そのオイルには、明確な特徴があります。さらに、アラゴン州のエムペルトレやレチン・デ・セビリヤなど、まだまだたくさんの品種があります。スペイン原産のオリーブは合計約260品種にもなります。
原産種の他に、現在は他の地中海沿岸の品種、例えばギリシャのコロネイキ(Koroneiki)やトスカーナ(イタリア)の有名なフラントイオなどがスペインで栽培されています。しかし、これらはスペインのオリーブオイルの香りと風味を多様化するためだけに使用されています。
スペインのオリーブオイル産業のもう一つの劇的な変化は、EU認定の原産地呼称保護(PDO)を前向きに受け入れたことです。一部の伝統的な産地の生産者にとって、このPDOの厳格な品質基準を導入することで、オイルの特性を守る動機付けとなりました。また、ハエンのメンヒバルオリーブ栽培センターとセビリアの油脂委員会は共に世界レベルで一流の研究施設であり、栽培と抽出技術の改善に関する取組に大いに貢献してきました。
オリーブオイルは地中海料理に欠かせない食材であり、それ故に伝統的なスペイン料理でも重要な食材です。さらに、斬新なスペイン料理において、オリーブオイルが創造的な結びつきと独特な変化の点で注目を浴び、その役割を確固たるものにしました。マラガのダニ・ガルシアやマドリッドのパコ・ロンセーロ、その他多くのシェフによって、エクストラバージンオリーブオイルの新しい独自の調理方法と風味が紹介され、時には革新的なレシピの目玉として取り上げられています。
オリーブオイルの産地
Spanish Extra Virgin Olive Oil Map - Protected Designations of Origin (PDO)
「地図の最新版はこちら」(外部リンク)
- PDO アセイテ・カンポ・デ・カラトラバ(Aceite Campo de Calatrava)
- PDO アセイテ・カンポ・デ・モンティエル(Aceite Campo de Montiel)
- PDO アセイテ・デ・ラ・アルカリア(Aceite de La Alcarria)
- PDO アセイテ・デ・ラ・コムニダ・バレンシアナ(Aceite de la Comunidad Valenciana)
- PDO アセイテ・デ・ラ・リオハ(Aceite de La Rioja)
- PDO アセイテ・デ・ルセーナ(Aceite de Lucena)
- PDO アセイテ・デ・マヨルカ(Aceite de Mallorca)
- PDO アセイテ・デ・モンテルビオ(Aceite de Monterrubio)
- PDO アセイテ・デ・ナバラ(Aceite de Navarra)
- PDO アセイテ・デ・テラ・アルタ(Aceite de Terra Alta)
- PDO アセイテ・デル・バッシ・エブラ・ムンシアー(Aceite del Baix Ebre- Montsiá)
- PDO アセイテ・デル・バホ・アラゴン(Aceite del Bajo Aragon)
- PDO アセイテ・シエラ・デ・モンカヨ(Aceite Sierra de Moncayo)
- PDO アンテケラ(Antequera)
- PDO バエナ(Baena)
- PDO エステパ(Estepa)
- PDO ガタ・ウルデス(Gata Hurdes)
- PDO レス・ガリゲス(Les Garrigues)
- PDO モンテス・デ・グラナダ(Montes de Granada)
- PDO モンテス・デ・トレド(Montes de Toledo)
- PDO モントロ・アダムズ(Montoro-Adamuz)